お久しぶりです、相変わらず仕事の合間を縫って音楽を漁ったりDJ・DTMなどをしているパトリオットです。
更新が10ヶ月ぶりとなってしまいましたが、更新していなかった理由は単に面倒だったから(笑)。
本当はクラブイベントのレポとか書きたかったんですが、今年は沢山のイベントに行っており、全部書こうとして「やっぱ面倒だからや〜めた」となって下書きをゴミ箱に移してしまいました..........。
今回ご紹介するのはDJに於ける早回しについての豆知識です。
僕がrekordboxを使用しているのでrekordboxユーザー向けの記事になってしまいますが、他のソフトを使用している方でも知っておいて損はない、僕がDJ中に気付いた知識を沢山書いていこうと思うのでどうぞ宜しくお願い致します!
早回しに於ける豆知識
それでは早速紹介していきたいと思います。
先ず、早回しとは何か?
早回しとは、BPMとキーを一緒に上げて再生することを言います。この機能は何もrekordbox特有のモノではなく、アナログレコードやカセットテープにも早回しする機能は付いていますし、動画編集ソフトでも音声の速度を変えるとピッチも一緒に変わったりします。
DJ用語でピッチと言うと音程ではなくBPMのことを指しますが、そもそも何故そう呼ばれるようになったのかと言うと、それは本来、アナログレコードを再生する機械にピッチフェーダーという、その名の通り曲のピッチを調節する機能が付いていたからなんですね。
DJという文化は元々「アナログレコードの再生機2台+ミキサー」という機材の組み合わせから始まり、当然ながら当初はオールインワンなどの専用の機材なんてありませんでした。
アナログレコードは環境によって回転する速度(曲の再生速度)が一定になってくれないので、当時はキーがズレた時、原曲通りのキーに合わせる為にこのピッチフェーダーを使ってコントロールしていたという訳です。
そしてこのピッチフェーダーで音程が上がるとBPMも一緒に上がるという発見がされ、そこから曲同士をノンストップで繋げるというテクニックが生まれ、現在ではキーではなく専らBPMを合わせる為の機能として使われているんですね。
ここら辺については以下の記事に詳しく書いてありますので、併せて読んでみて下さい。
そもそも、BPMが上がると何故デフォルトで音程まで高くなるのかと言うと、それは1秒あたりの振動数が増えて周波数が高くなるからなんですね。
つまり音の周波数は1秒に振動する回数なので、例えば曲を1.3倍速にしたら1秒に1.3倍振動するため、その分周波数も高くなって音程も上がる、という訳です。
MT(マスターテンポ)という機能について
rekordboxの画面にはMTボタンが付いており、そこを赤く点灯させるとBPMが変わっても元のキーのまま再生させることができ、OFFにすると早回しすることができます。コントローラーによってはMTをON・OFFに切り替えるボタンも付いています。
この画像の赤丸で囲んである部分ですね。ここをクリックする形でON・OFFにできます。
また、BPMが表示されている部分(上記の画像の110と書いてある部分)のすぐ右下に±6と書いてありますが、これはテンポレンジと呼ばれるモノで、ここをクリックするとBPMを変更できる上限・下限を変更することができます。±6 → ±10 → ±16 → WIDE → ±6.........の順で変更可能。こちらもコントローラーによって変更するボタンが付いているので活用してみて下さい。
テンポレンジ |
BPM(100の場合) |
---|---|
±6 |
94〜106 |
±10 |
90〜110 |
±16 |
84〜116 |
WIDE(±100) |
0〜200 |
上記の表のような感じです。±6は6%まで上げ下げ出来るということなので最大で1.06倍速になります。
早回しとMT点灯のメリットと留意点・対策など
さて、ではここでどういう場面で早回しにしたら良いのか、或いはどのような場面でMTをONにしたら良いのかを僕の主観を交えて書いていきたいと思います。
僕は結構「元のBPMのまま繋いで行って、徐々にBPMが上がって行く」というMIXをするのですが、ここでは最初から最後(或いは途中)まで一定のBPMで繋いで行くことを前提に解説させていただきます。
また、以下の文章は僕の得意とするジャンル(ロリコア・J-CORE・ナードコア等)にかなり依存した話になってしまうと思うので予めご了承下さい。
---早回しプレイについて---
早回しの一番の良さと言ったら、やはり普段聴いている曲の雰囲気がガラリと変わる点でしょう。BPM・キーと共に音圧も上がるので、イベントで自分が知っている曲の早回しが流れ、尚且つそれで上手く繋ぐことが出来ていたらブチ上がること間違いなしです。元々好きだった曲が更にダンサブルな雰囲気になって尚且つフロアが盛り上がることを想像しただけでも脳汁出ちゃいますよね(笑)。
手動で移調しただけだと音圧は上がらないので、ロングミックスの際に不協和音にならないようであれば盛り上げる為に早回しするのもアリです。手動だとキーを上げすぎることによって、キックの音が甲高くなって全体的に迫力の欠けるサウンドになってしまうことが多々あるのですが、早回しの場合はキーが上がれば上がる程音圧が上がる為、キックが甲高い音になっても迫力は保てたりします。同じ「甲高いキック」でも、手動での移調と早回しとではキックの厚みが全然違うんです。
一番のデメリットとしては、思い通りのキーに定められない為、やはりロングミックスの際は気を付けなければならない点。例えば既に流れている曲がガンガンピアノが鳴っているUK HARDCOREだとして、次に繋ぐ曲はそのピアノの音と混ぜても違和感のないようなモノを選ばなくてはなりません。例えば無調の曲で繋ぐとか。特にGABBAやFrenchcoreなんかは無調の曲で溢れています。
当たり前ですが、早回しは手動でキーを弄るのと違って音程が半音ずつ上がって行く訳ではないので、ミとファの間の音なんかが鳴ることはザラです。音が微妙な感じになっていて当然なので、ロングミックスには向かないのです。
また、早回しの倍率によって音量差が顕著に現れることは想像に難くないので、音量のコントロールをキチンとこなすこと。なんなら繋ぐまでの時間はツマミを弄ることに全振りしても構いません。
後はお客さんが知ってそうな曲をどれだけ流すかですね。先程も書いた通り曲の雰囲気が大幅に変わることが早回しの醍醐味なので、有名な曲の雰囲気をガラリと変えてブチ上げるのか、それとも良い曲だけど知名度が低いからお客さんに初めて聴かせるつもりで原曲キーで流すのか、或いは有名な曲だけど原曲の持ち味を損なわせたくないのでそのままのキーで流すのか.........自分の想いとも相談しながら実行すると良いかも知れません。
それから、コントローラーのジョグ部分をチョンチョンするとやはり音程が変わってしまうので、両サイドのSYNCボタンを点灯させて小節でピッタリと繋ぐようにしましょう。ジョグには頼らずに!
※機材によっては早回しをしても音圧が上がらず、そのままになっていることがあるので先ずはよく環境を確かめてから以上のことを参考にしていただければ幸いです。
---MTを点灯させた状態でのプレイについて---
MTの一番のメリットは、やはりキーを思い通りに操れることでしょう。特に調律がキチンとされている楽器で演奏された曲であれば、手動で移調しても気持ちの悪い音になることはありません。何故なら半音毎にしか移調できないので。(DAWで音程を微調整したモノを使うとなると話は変わってきますが.......)
僕は早回しはあまりしないので原曲キーで流すのですが、MIXを組む候補の曲があったとして「これとこれキーが近いからロングミックスし易いな」などとしょっちゅう考えています。
ただ先程も書いた通り、キーを上げすぎると低音まで甲高い音になって迫力が欠けてしまうので、曲の持ち味を損なわない為にもキーはなるべく±2までしか変えない方が良いと思っています。
↑これは五度圏表と言ってキーの相性を示しているモノなので、良かったらDJの参考にしてみて下さい。
マスが近ければ近い程MIXの相性が良いです。
早回し時のBPM早見表
さて、早回しの際はテンポフェーダーを段々下ろして行くと徐々に音程が変わって行く訳ですが、では原曲の何倍のBPMになればキーがどのくらい上がるのか?と疑問に思ったことはないでしょうか。
今回はその疑問を解消する為の早見表を作ってみました!
先程も書いた通り、BPMと周波数は関係しています。BPMも周波数も倍にすると丁度1オクターブ上の音になるのです。
この表は音の周波数について考察されたサイトを元に作られているので、良かったら元のサイトもご覧下さい。
それではC Majorの100BPMの曲を基準とした早見表をご覧下さい!
※これはあくまでも平均律での話です。純正律の倍率はまた違うと思います。
※例えばこの表のC#の音は、1.0594倍速でCからほぼピッタリ半音上がるという寸法です。
キー | BPM | 倍率 | パーセンテージ |
---|---|---|---|
C |
100 |
1 |
0.0% |
C♯/D♭ |
105.94…… |
1.0594……倍速 |
5.9……% |
D |
112.24…… |
1.1224……倍速 |
12.2……% |
D♯/E♭ |
118.92…… |
1.1892……倍速 |
18.9……% |
E |
125.99…… |
1.2599……倍速 |
25.9……% |
F |
133.48…… |
1.3348……倍速 |
33.4……% |
F♯/G♭ |
141.42…… |
√2倍速 |
41.4……% |
G |
149.83…… |
1.4983……倍速 |
49.8……% |
G♯/A♭ |
158.74…… |
1.5874……倍速 |
58.7……% |
A |
168.17…… |
1.6817……倍速 |
68.1……% |
A♯/B♭ |
178.17…… |
1.7817……倍速 |
78.1……% |
B |
188.77…… |
1.8877……倍速 |
88.7……% |
C(1オクターブ上) |
200 |
2倍速 |
100% |
↑参考にさせていただいたサイトです。ご覧いただければ分かると思いますが、周波数の倍率とBPMの倍率が全く一緒なんです!
それでは皆さん、良いDJライフをお過ごし下さい!
この記事が少しでも貴方のDJに役立つことを願っております。